これまで何度も目にした馴染み深い「清浄歓喜団」をちゃんと味わったのは、つい最近のことだった。八葉の蓮華をかたどって、巾着袋になぞらえたこのお菓子は、奈良時代に遣唐使によって伝えられた唐菓子の一種である。ずっしりと重いこの巾着は、ころころとして可愛らしい。千年昔の姿そのまま、ご当主によって受け継がれている。その職人さんたちは、製造口には身を清めるため、精進料理しか口にしないらしい。この歳になって、冠婚葬祭、仏事の機会も増えた。その度に恥をかきつつ、いろんな事を学習する。地方によっても、その家々によっても儀式は異なるので、戸惑うことも多い。ただ、気持ちが伝わらなければ意味がない、と思うようになった。だから、できるだけ“ちょっとした美味しいもの”を添えてお渡しするように心がけている。この清いお菓子はそんな時に、ぴったりのお菓子である。ごま油で揚げた香ばしい皮の中には、七種類の香を混ぜ込んだこし餉が入っている。家では、もう一度オーブンで、少し焼いてみる。自柚や桂皮の香りが蘇り、奈良時代からの歴史がグンと近づくようだ。清浄歓喜団を今年のお中元は贈ってもらいたい。